外から吸った空気の最初の関門は鼻、そこを突き抜けるとつきあたりの上咽頭という壁にぶつかります。通常は正常な免疫反応と病原体の排除がおこりダメージを受けた組織の修復とともに治癒します。何らかの原因でこの過程がうまく働かず、そこに慢性的に炎症がくすぶることも一因と考えられております。慢性化するとのどの痛みはなくなり違和感や倦怠感といった不定愁訴がつづく事から明確な診断が確立していないのが現状です。 

慢性上咽頭炎と治療の歴史 

戦前から慢性上咽頭炎の報告はありましたが戦後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科の堀口申作名誉教授が治療法として上咽頭擦過療法(EAT)を発表しました。医学的メカニズムが不明、のどの違和感、倦怠感、頭痛、微熱、肩こりなど多くの症状に効くとの報告で逆に懐疑的な目が向けられ半世紀以上、目立った研究は進みませんでした。 

 上咽頭擦過療法(EAT)は昨今の長引くコロナ後遺症(Long COVID)への統計学的有意な効果報告等があり口腔咽頭科学会分科会でも注目されつつあります。瀉血(粘膜のむくみをとる)、消炎、神経刺激の機序が考えられており、免疫学やウイルス学的な側面からも今後の研究報告が進むことを期待します。 

処置による合併症報告も少なく、患者様の有益性を最優先に考え、他の原因がないことを確認しつつ当院でも取り組んでいきます。

上咽頭擦過療法(EAT)の実際 

スプレー等で麻酔をしたあと鼻の入り口から綿棒を入れ、塩化亜鉛溶液を上咽頭に塗ります。反射や感受性に個人差が大きい事から初回は無理せず少しずつ行いますので御安心ください。 

刺激性があり1,2日は痛みや症状悪化がありますので適宜、お薬の処方をします。 

通院計画については、相談しながら決めます。