理想的な鼻とは

抵抗なく吸った空気が入り、入り組んだ鼻の粘膜によって①空気中のごみを取り除いたり➁空気を温めたり➂湿度を高めたうえで肺に空気を送り込むことができる状態です。

慢性鼻炎
(まんせいびえん)

メインは下鼻甲介(かびこうかい)といわれる鼻の中のでっぱり部分が腫れてくる状態です。特に夜や寝た姿勢で腫れが強まり、鼻づまりの原因となります。
アレルギーによるものと、そのほかの原因によるものがあります。

おくすりの治療や鼻うがいで、うまく付き合っていくことをめざします。(第一段階)
それでも鼻炎症状に悩む場合は体質の改善(舌下免疫療法)や外科的治療の相談をします。(第二段階)

舌下免疫療法とは

アレルギーの原因(アレルゲン)を毎日、薬として口に含ませ、「慣らしていく」ことにより体質を根本から改善をめざす治療法です。2年間で70%以上の人に軽減を認める報告があります。効果が出た後も年単位で続けていく必要があります。
治療の進め方
まずはアレルギーの原因検査結果(他院で最近行った人は結果持参で省略)とアレルゲンへの高度の反応結果が必要です。
過去に他の治療が行われているものの継続が難しい場合に導入を検討します。
※スギ花粉症の場合、副反応の観点から開始は飛散シーズンを外します。

開始日は院内で行い、30分間観察します。翌日以後は処方された薬を自宅で使用します。

鼻中隔弯曲症
(びちゅうかくわんきょくしょう)

鼻中隔とは鼻の中にある鼻すじの部分です。
ここが曲がっている側の骨の構造がせまくなり、反対側は空いたスペースを埋めるように粘膜が腫れて両側とも鼻づまりを起こし得ます。

おくすりの治療では根本的にはよくなりません。合併する鼻炎を処方薬や家庭での鼻洗浄で治療することにより鼻づまりを軽くします。(第一段階)
それでも鼻づまりが苦しい場合は外科的治療を検討します。(第二段階)

■鼻中隔接触点頭痛

原因不明の頭痛の正体がこの場合も。曲がった鼻すじが鼻の中に突き刺さって痛みを感じることも。
鼻に薬を塗ったガーゼを入れて粘膜を縮ませると症状が和らぐ場合、疑いが強くなります。

おくすりの治療では根本的にはよくなりません。合併する鼻炎を処方薬や家庭での鼻洗浄で治療することにより症状緩和を目指します。(第一段階)
それでも症状が続き、原因の疑いが強い場合は外科的治療の相談をします。(第二段階)

副鼻腔炎
(ふくびくうえん)

俗に蓄膿症と呼ばれるものです。鼻につながる副鼻腔というせまい迷路のような空間があります。ここに炎症がおきると黄色い鼻水や痛みが出たり、クラゲのようなゼラチン質の粘膜に変質したりします。原因不明の頭痛、歯痛は要注意。
かぜの後、一時的になるようなものを急性、こじれて続くようなものを慢性副鼻腔炎と呼びます。感染によるものと原因不明のアレルギー的なものがあり、後者の難治例が増えています。

初回はおくすりの治療や鼻うがいを状態によっては長めに行い、CTで再評価します。7割くらいはこれでよくなります。子供は成長とともに自然に良くなる場合も多く見受けられます。(第一段階)
 
それでもよくならない(くすりを繰り返し長くのみたくない、将来、妊娠を考えていて薬を飲み続けにくい)場合は外科的治療があります。(第二段階)

鼻の日帰り手術について

嗅覚障害
(きゅうかくしょうがい)

匂いがわからなくなる原因は二つあります。
1つは鼻炎や副鼻腔炎によるもの。もう一つはウイルス(コロナだけではありません!)や頭を打った後におきてしまうものなど。後者の場合は嗅覚障害の程度を診断しつつ長くお薬の治療や嗅覚トレーニングを日常行うことが望まれます。

嗅覚リハビリテーション
(嗅覚トレーニング)とは

(鼻炎や副鼻腔炎によらない)嗅覚低下の治療として12週間、1日二回、10秒ずつユーカリ、クローブ、レモン、バラの香りで刺激することにより回復を助ける方法が2009年、ドレスデン工科大学 Thomas Hummel教授により報告されました。新型コロナウイルスの流行とともに再び脚光を浴びることとなりました。

まずは耳鼻科で正しい診断を受けてから取り組みましょう!

また、認知症と嗅覚は深い関わりがあり、取り組みの一環として嗅覚刺激療法の研究報告がみられるようになりました。